上手な相続手続きの進め方 ~株式がある場合~

2019年3月25日相続

株式の相続手続き

相続財産の中に株式がある場合、親族企業の株式であれば比較的容易に分かりますがそれ以外の被相続人の所有株式の株式数、未受領配当金等の有無がハッキリしないときや不明な場合もあると思います。

まず、お亡くなりになった方のどの銘柄を何株持っていたかを調査します。また、配当がある場合は、未受領配当金の額も調査して確定しましょう。

具体的には、「口座残高証明書」、「所有株式数証明書」、「未払配当金残高証明書」等を取得します。最初の段階で漏れがあると改めて手続きが必要になったり、相続手続き(換金)完了までの時間が大幅に増えたりします。遺産分割協議までのスケジュール変更を余儀なくされる場合もでるかもしれません。

相続財産目録の内容に変動が生じるので、相続税の申告に影響が出たり、分割協議内容の修正が必要になったりしますので初期の調査は大変重要な作業です。

保有株式・未受領配当金の調査

1. 証券会社等で取引されていた場合には、取引している証券会社等に口座残高証明書を請求し、株主名簿管理人(信託会社等)には、所有株式数証明書、未受領配当金の証明書を請求して取得します。

※ 複数の証券会社と取引している可能性も場合もあるので、過去に郵送された郵便物などを見て確認します。実際の相続手続きについては、支店の担当者ではなく相続センター(相続専門の部署)とやり取りするところが多いです。

※ 残高証明書、所有株式数証明書、未受領配当金の証明書は、証明書交付請求書、戸籍謄本一式(法定相続情報証明でも可の金融機関あり)、印鑑証明書等を提出すれば取得できます。

※ 株主名簿管理人(信託会社等)への請求は、信託銀行等に登録されている被相続人の住所地に送付してもらう場合には、証明書交付請求書等を提出せず、電話連絡で対応してくれる場合もあります。

2. 株式を保有していると株式保有会社から株主総会開催の案内や事業レポートなど株式関係書類が郵送されてきます。証券会社の口座の中の銘柄以外の会社から郵便物が届いていないか確認します。

3. 亡くなられた方が取引されていた銀行や信用金庫等の口座の履歴を見て配当が入金されていないか確認して把握している保有銘柄に漏れがないかをチェックしていきます。銘柄が不明な配当金がなくなるようにチェックします。

このとき、できるだけ長くさかのぼることにより漏れが少なくなります。(保有銘柄会社が長期間にわたりに未配当のときは配当金の入金がないたためです。)

※ 株式の配当の配当の受け取り方法は、株主の指定により証券会社の口座で受け取る方法と株主指定の銀行口座に入金してもらう方法と、郵送されてきた郵便為替で郵便局の窓口でうけとる方法があります。

4. 配当がある会社の場合は、上場会社企業のであれば、ホームページ等でIR情報を開示しているので一株当たりの配当金額を調べ、一株当たりの配当金額と保有株式数を乗じた金額が、入金されている金額と一致してるか確認します。(証券会社へ届けている内容により入金金額は源泉徴収後の金額が入金されいることがありますので注意してくだいさい。)

もし、金額が合わない原因が源泉徴収金額でもない場合は、別の証券会社で管理している株式があるか、信託銀行等の「特別口座」で別に管理されている場合が考えられます。(同一銘柄でも、取得した原因や時期により管理がわかれてしまっていることがあります。)

その場合はその銘柄の株主名簿管理人(信託会社等)に調査を依頼して所有株式数証明書、未受領配当金の証明書を取得します。

信託銀行等の「特別口座」とは?

「特別口座」とは、株券電子化実施時(2009年1月)に株券を証券会社に預託していなかった株主等の権利を保全するため、株式発行会社の申出により株主名義で開設した口座です。

※ 「特別口座」の相続手続きは、別手続きになりますので「特別口座」がある場合は相続手続き完了までに時間を要します。

未受領配当金において注意すべきこと

証券会社に死亡連絡(届け)をすると口座が凍結され、相続手続きが終わるまで売却をするなど一切できなくなります。銀行口座も凍結している場合、配当金の受領もできなくなるため、未受領配当の受け取り漏れにも注意する必要があります。

また、口座を凍結した時期により、配当を受け取れるまでに相当な時間を要する場合もあります。

特に上場してる会社に多く見られる基準日現在の株主に剰余金の配当が分配されるような会社では、例えば2~3月後に開催される株主総会が終了するまで、配当金額も確定しない場合もあります。

確定してから受領のための手続きをするとさらに1~2か月位時間を要する場合もありますの心得ておく必要があります。

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Posted by 栗原誠