農地法許可申請

2018年12月15日

農地法の目的

 農地を自由に農地以外の用途変更できると、無秩序に開発が進み市街化を整備する上で問題となったり、食料の安定供給の確保に支障をきたすことから、「農地」については、「農地法」で厳しく規制が行われています。

 農地法により、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進したり、農地の利用関係を調整したり、農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることによって、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、国民に対する食料の安定供給の確保食料自給のための農地の確保、耕作者の地位の安定を維持できるようにしています。

農地とは?

 農地とは、耕作の目的に供される土地のことです。 田・畑・果樹園・牧草採取地等、農地であるか否かの判断は、現況(土地が現在使用されている状態)のみで判断されるのではなく、登記簿、固定資産台帳、農地台帳も含めて判断されます。 まれに、その登記簿と農地台帳とで地目が異なる可能性があります。

農地転用とは?

 農地の転用とは、農地を農地以外の目的で利用しようとする場合に、農地法に基づいて行う転用手続きのことです。 田や畑を、住宅を建てるために宅地にしたり、駐車場・資材置場にするために雑種地にすることです。 その土地が、農地の場合は、自分の土地であったとしても、農地法の手続きが必要となります。無断転用した場合、自分の土地であったとしても現況を農地に戻さなければいけなくなることもあります。

農地法第3条の許可

  農地法第3条第1項の許可は、農地又は採草放牧地についてこれを転用する目的以外で所有権を移転、又は、地上権、永小作権、質権、使用貸借権、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定又は移転する法律行為をする場合に許可が必要となります。当事者間で合意していたとしても、農地法の許可を受けなければ当事者間の行為について効力は生じないことになっています(農地法第3条第7項)。

 (農地の所有権の移転原因が相続・包括遺贈・法人の合併・分割、時効等によって生じた場合は、農業委員会に農地法第3条の3による届出をする必要があります。)

 会社が山林を取得して農地に造成することについては、農地法の許可は必要ありませんが、他の法令によって規制を受ける場合があります。例えば、国土利用計画法による都道府県知事の届出や農業振興地域の整備に関する法律による農用地区域内における開発行為に該当する場合は、都道府県知事の許可を要する場合があります。なお、山林を農地に造成した後は、農地法が適用されることとなります。

農地法第3条の許可基準

農地法第3条の許可を得るためには、下記の許可要件を満たしていることが必要です。

1. 全部効率利用要件 農地の権利を取得しようとする者又はその世帯員等が、権利を有している農地及び許可申請に係る農地のすべてについて、効率的に利用して耕作の事業を行うと認められるか。

2. 農作業常時従事要件 農地の権利を取得しようとする者又はその世帯員が、その取得後において行う耕作に必要な農作業に常時従事すると認められるか。

3. 農地所有適格法人要件 法人のみ

4. 下限面積要件 取得後の農地面積の合計が50a以上(地域により緩和があります)あるかどうか。 

5. 地域との調和要件

農地法第4条の許可

 農地法第4条では、農地を転用するという事実行為を規制しており、農地を転用しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。第三者の農地を取得して転用する場合は、農地法第5条の許可が必要となります。

 なお、採草放牧地の転用については、農地法第4条の規制の対象とはなっていませんが、採草放牧地の権利の設定又は移転については、農地法第3条の、転用目的に権利の設定又は移転は、農地法第5条の対象としています。 

農地法第5条の許可

  農地法第5条は、農地又は採草放牧地について、転用目的として権利の設定又は移転をするという法律行為を規制しており、農地等について売買又は権利の設定をする当事者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。

  なお、市街化区域内の農地を転用する場合は、あらかじめ農業委員会に所定の事項の届出を行えば転用許可は要しませんが、農家が畜舎を建設する目的で取得する農地について、所有権等の権利の移転・設定を受ける場合や、自らの養畜の事業のための畜舎を建設する場合で転用する農地がある一定の面積を超える場合は、転用許可が必要です。

都市計画区域内の農地転用許可について

 市街化区域と市街化調整区域に区分されている都市計画区域では、農地転用の許可を、市街化区域では届出制とし、市街化調整区域では「甲種農地」と位置づけ転用を厳しくする取り扱いがなされています。市街化区域と市街化調整区域に区分されていない都市計画区域では、「第3種農地」として位置づけ転用を原則許可する取り扱いがなされています。
 なお、都市計画法では、都市計画区域の内外を問わず開発行為をしようとする場合に開発許可が必要となり、農地転用許可と開発許可は同時に行うよう運用されております。

 

農地転用の許可基準とは?

  農地転用の許可基準には、立地基準と一般的基準があります。

立地基準

 市街地に近接した農地や生産力の弱い農地から転用されるようにするために、農地の営農条件や周辺の市街地化の状況から見て区分し判断する基準。

一般的基準

 農地転用の確実性や周辺農地等への被害の防除措置の妥当性などを審査する基準。

 

農業振興地域農用地区域除外申請

 農用地区域内で農地の転用が認められるのは、非常に限られています。

 当該区域内で農地を転用するためにはまず、農用地区域から除外されることが必要です。
 除外要件は下記のとおりです。

1.農用地区域以外に代替えすべき土地がないものであること
2.周辺農用地区域の営農に支障を及ぼさないものであること
3.周辺農用地区域の集団性が保たれるものであること
4.担い手に対する農用地の利用集積に支障を及ぼさないものであること
5.農業用用排水施設等の土地改良施設に支障を及ぼさないものであること
6.農業生産基盤整備事業等の土地改良事業が完了して8年を経過していること
7.申出目的実現の見込みが確実であること

 農用地区除外申請は、市町村によって申請時期を設定してあります。申請の受付も1年中受け付けているのではなく、年2回くらいのところが多いようです。申請から除外決定まで6ケ月~1年以上かかります。除外決定後、転用許可申請や開発許可申請をする流れとなります。さらに、1~2か月後ようやく許可が下りることになりますので、長い時間を要する覚悟が必要となります。また、農用地区域からの除外は、非常に限られているため、手続きを進める上でも役所の担当者と綿密に打ち合わせをすることが大切となります。

 許可を得るために行動する前段階として、除外決定ができる農地の確認と除外決定後の他の関係法令の許認可(農地転用・開発許可等)を要する場合は、その許認可を受けることが可能かも検討しておく必要があります。

農地の区分

営農条件、市街地化の状況 おおよその許可方針
第3種農地 ・鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域
・市街地化の傾向が著しい区域内の農地
原則許可
第2種農地 ・市街地化が見込まれる農地
・生産性の低い小集団の農地
周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可
第1種農地 ・良好な営農条件を備えている農地
(20ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等)
原則不許可(土地収用対象事業の用に供する場合等は許可)
甲種農地  ・特に良好な営農条件を備えている農地
(市街化調整区域内の土地改良事業等の対象に8年以内になった農地等)
原則不許可(土地収用法第26条の告示に係わる事業の場合等は許可)
農用地区域内農地  ・市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 原則不許可

Posted by 栗原誠