第一種貨物利用運送事業登録

2019年3月21日

第一種利用運送事業

第一種貨物利用運送事業登録手続きの流れ

貨物利用運送事業には、第一種と第二種に分かれています。

第一種貨物利用運送事とは、他人の需要に応じ、有償にてトラック、飛行機、船舶、鉄道などのあらゆる運送手段を利用して貨物を輸送する事業であって第二種貨物利用運送事業以外のものをいいます。

これに対し第二種貨物利用運送事業とは、他人の需要に応じ、有償にてトラック、飛行機、船舶、鉄道などのあらゆる運送手段を利用して、集荷及び配達までの全ての運送を一貫して請け負う事業のことをいいます。

以下は、第一種貨物利用運送事業登録について見ていきます。

第一種貨物利用運送事業の登録要件

第一種貨物利用運送事業の登録を取得するためには、以下の登録要件を満たす必要があります。

1. 事業遂行に必要な施設の要件を満たしていること
2. 財産的基礎があること
3. 登録拒否要件に該当しないこと

1.事業遂行に必要な施設

貨物利用運送は、自ら運送を行いませんが施設について以下の要件を満たさなければなりません。

1. 使用権限のある営業所、事務所、店舗を有していること
2. 営業所、事務所、店舗が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
3. 保管施設を必要とする場合は、使用権限のある保管施設を有していること
4. 保管施設が都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)の規定に抵触しないこと
5. 保管施設の規模、構造、設備が適切なものであること

この中で特に注意したいのが、2番目にある都市計画法等関係法令に抵触しないことです。営業所、事務所、店舗の選定の際によく調べてから最終決定しないと余計な費用と時間をかけてしまいます。

例えば、原則として、市街化調整区域には営業所等は置くことができないので、土地調査をきっちり行い、資料や役場の担当者などに十分に確認する必要があります。

2. 財産的基礎を有していること

財産的基礎として、一定の資産を保有していることが必要になります。具体的には純資産300万円以上を有していなければなりません。法人の場合は直近の決算月の貸借対照表の純資産で判断されます。

3.登録拒否要件に該当しないこと

登録しようとする事業者が、貨物利用運送事業法第6条第1項第1号から第5号に規定する登録拒否要件に該当している場合は登録できません。

貨物利用運送事業法 第6条(一部抜粋)
一 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
三 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
四 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
五 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの
イ 日本国籍を有しない者
ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの

登録申請に必要な書類

登録を受けようとする申請者が法人の場合は、以下の書類の提出が必要になります。

第一種貨物利用運送事業登録申請書
次の事項を記載した事業の計画
利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者の概要
貨物の保管施設を必要とする場合にあっては、保管施設の概要
その他事業計画の内容として必要な事業
利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者との運送に関する契約書の写し
貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類
(貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造及び附属設備を記載した書類を含む)

定款
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
役員の名簿
役員の履歴書
役員が欠格事由に該当しないことの宣誓書

第一種貨物利用運送事業の審査期間(標準処理期間)

登録申請の提出をしてから、登録されるまでの標準処理期間は3~4か月となっています。

営業開始までの流れ

登録手続きの流れは以下のようになります。

Step 1. 必要書類の作成・収集

Step 2. 事業所を管轄する運輸支局に申請書類を提出

Step 3. 審査(標準処理期間:3か月~4か月)

Step 4. 登録通知書の受領

Step 5. 登録免許税(9万円)の納付

Step 6. 運賃料金設定届出書の提出

Step 7. 営業開始

※国土交通大臣が告示する『標準利用運送約款』を設定しない場合は、第一種貨物利用運送事業の登録申請手続きとは別に、利用運送約款の認可が必要です。

 

第一種貨物利用運送事業の登録後にすることは?

第一種貨物利用運送事業の登録後は、主たる事務所とその他の営業所に、下記の事項を掲示する義務があります。

掲示内容

第一種貨物利用運送事業者である旨
利用運送機関の種類
運賃及び料金(消費者を対象とするものに限る)
利用運送約款
利用運送区域又は区間
業務の範囲
事業報告書の提出
第一種貨物利用運送事業者は、事業報告書と事業実績報告書を毎年1回定められた提出期限までに、提出することが義務付けられています。

毎年度の事業報告書の提出義務

事業概況報告書

事業概況報告書は、毎事業年度経過後100日以内に提出することが義務づけられています。

事業実績報告書

事業実績報告書は、毎年4月1日から3月31日までの1年間の貨物の取扱実績の関する報告書です。7月10日までに提出することが義務づけられています。

事業計画の変更やその他の変更等があったとき

提出している事業計画のうち、以下の事項に変更のある場合には、事業計画の変更登録申請または変更届出が必要です。

・ 利用運送に係る運送機関の種類の変更(変更登録)
・ 利用運送の区域又は区間の変更(変更登録)
・ 主たる事務所の名称又は位置の変更(変更届出)
・ その他の営業所の名称及び位置の変更(変更届出)
・ 業務の範囲の変更(変更登録)
・ 貨物の保管施設の変更(変更届出)
・ 利用する運送を行う実運送事業者又は利用運送事業者の変更(変更届出)
・ 事業者の氏名・名称・住所・国籍・役員の変更(変更届出)※

※ 代表取締役の変更は、変更後に遅滞なく届出を行わなければなりませんが、代表権の無い役員の変更の場合は、6月30日までに変更のあった役員については、毎年7月31日までに届出を行えばよいことになっています。

・ 運賃、料金の改定
第一種貨物利用運送事業の登録に行った運賃・料金の届出内容に変更が生じた場合は、変更日から30日以内に変更後の運賃・料金の変更届出をします。

・ 事業承継があったとき
第一種貨物利用運送事業の譲渡譲受、合併及び分割、相続を行った場合は、その地位を承継した事業者が、承継の日から30日以内に届出をします。

・ 事業の廃止があったとき
第一種貨物利用運送事業の廃止を行う場合は、事業廃止日から30日以内に届出をします。

貨物利用運送事業に該当しないものとは?

運送事業者を利用して運送を行う場合でも、貨物利用運送事業に該当しない場合があります。

例えば、自社の貨物を実運送事業者に運送させるといった自らの需要に応じる行為や、無償で貨物利用運送を行う場合は、貨物利用運送事業に該当しません。

また、貨物軽自動車運送事業者を利用して、集荷先から発送先までの運送サービスを提供する場合も、貨物利用運送事業に該当しません。

これは、貨物利用運送事業では、利用する貨物の運送を、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者、貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送に限定しており、貨物軽自動車運送事業者は含まれていないからです。

つまり、貨物利用運送事業での「貨物自動車運送事業者」には、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者に限定されており、貨物軽自動車運送事業者は含まれていません。従って、貨物軽自動車運送事業者を利用する場合は、貨物利用運送事業に該当しません。

貨物利用運送事業と貨物取次事業の違いとは?

貨物利用運送事業とよく似ているものとして、他の運送会社に貨物を運んでもらう事業として、貨物取次事業があります。

「貨物利用運送事業」は荷主と運送契約を締結し、荷主に対し運送責任を負う事業であるのに対して、「運送取次事業」は、荷主に対して運送責任を負いません。

「貨物取次事業」は、取次料金を受け取って、荷主の依頼により、他の運送事業者に貨物の運送を取次いだり、他の運送事業者から貨物の受取をしたり、または他の運送事業者に貨物の運送を委託したりする事業です。

貨物取次事業を行なうにあたって、平成15年より規制が廃止されており登録や許可を受ける必要はありません。

貨物取次事業の例として、コンビニエンスストアでの宅配便の受付があります。

コンビニエンスストアは単に宅配便業者への取次ぎをしているにすぎません。
また、インターネット通販での商品の配達も通販会社が消費者と運送会社との間の契約を締結し、契約締結に係る対価を得る場合も貨物取次事業に該当します。

Posted by 栗原誠