産業廃棄物収集運搬業許可申請

2018年8月16日

産業廃棄物運搬業許可をとりたい(更新したい)と考えている方へ

産業廃棄物を運ぶには都道府県知事の許可が必要です。
産業廃棄物収集運搬の許可は都道府県毎に管理していますので、産廃を運ぶのに関係するすべての都道府県の許可をとる必要があります。

許可の有効期間は5年間です。5年毎に更新申請をしなければなりません。

許可申請は予約制です。更新許可申請は、2か月前から更新許可申請できますが、首都圏の場合は、大変混雑しており予約が取りづらくなっています。新規・更新許可申請は余裕のもったスケジュールで行動する必要があります。

公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)のサイトに講習日程が掲載されております。

産業廃棄物運搬業(積替え保管を除く)の許可が必要な方

産業廃棄物を運ぶのであれば、法人に限らず個人の方や小規模のものであっても許可が必要です。

例えば、建設業者さんが工事を請け負って自社が出したゴミを運ぶのであれば許可はいりませんが自社以外の事業所が出したゴミを運ぶときは許可が必要です。

許可が必要な都道府県

産廃を積む県と産廃を下す県の許可が必要です。
※「通過するだけ」の都道府県の許可は不要です。

例えば、埼玉県で産廃を積み、神奈川県で産廃を下ろす場合、通過する東京都知事の許可は不要です。

産業廃棄物収集運搬業の許可をとるのに必要な条件

産業廃棄物を運ぶ許可をとるためには以下のような許可の条件をクリアしないと許可されません。

許可の条件
1 能力面
2 経営面
3 施設面(産廃を運ぶ車両や容器等)
4 その他

1 能力面

「日本産業廃棄物処理振興センター」が行う講習に参加し、修了しなければなりません。
許可に必要な講習を受ける上で特に注意すべきことがいくつかあります。

講習を受けるべき人が決まっています

申請者が法人である場合は、代表者、役員もしくは政令に定める使用人です。
申請者が個人である場合は、申請者本人です。

講習を親族や従業員に代わりに受けてもらうことはできません。
講習は受ける講習の種類によりますが、例えば普通新規許可の場合は2日間で8:30受付で17:00までキッチリ受講する必要があります。講習終了後テストがあり、基準点を満たせば修了証が約3週間後にもらえます。

その場ではテスト結果はわかりません。居眠りせずしっかり受けないと合格点がとれないかもしれませんのでちゃんと講師の話は聞きましょう。テストの内容はものすごく難しいものではないようですが、体調不良などで不合格になってしまった場合は、再試験になりますので、許可申請の時期が遅れます。

更新までの期限に余裕がないと現在有効な許可の有効期限が切れ、更新講習ではなく新規講習を受講し直すことになります。

申請も更新許可ではなく新規許可の申請をしなければいけなくなる場合もありますので、やはり早めの準備を心がけることが大事です。

修了証には有効期限があります

新規講習講習修了日より5年
更新講習講習修了日より2年

新規許可申請の場合は申請年月日、更新許可申請の場合は許可更新年月日で起算し、有効期限内のものを添付する必要があります。

新規で許可を取得し、5年後の更新申請の際に、修了証を添付する必要がありますがその有効期限が2年ということで、更新する3年前に講習会を受けても申請時にはその修了証は有効期限切れとなってしまいます。つまり更新の2年前以降に受講すれば大丈夫です。

更新が近くなってから慌てて受講しようとしても、年数回の開催で定員が決められており予約制のため、最寄りの会場で受講の予約ができない場合があります。講習が受けられず許可有効期間が到来して、許可が失効してしまう場合がありますので注意が必要です。

講習会は全国の都道府県で開催されており、どこの会場でも受講可能ですが、最寄りの会場以外で受講するとなると余計な費用と時間がかかってしまいます。

日本産業廃棄物処理振興センターへの受講申し込みは、従来からの書面以外の他、Web上で予約もできるようになりましたので、早めに予約をして更新期限が到来する3か月前には講習を受けておくのがよいと思います。

当事務所をご利用いただいていれば、余裕をもって更新講習受講に関するご案内をすることができます。

許可に必要な講習を受ける必要があります

例えば、特別管理産業廃棄物の新規許可をとりたいのに産業廃棄物の新規許可の講習を受けてしまった場合には、改めて特別管理産業廃棄物の新規許可の講習を受け直さなければならず、許可申請の時期が遅れることになります。

許可申請には欠格要件があります

以下に掲げる対象者の中に欠格要件に該当する方がいる場合は、必ず不許可処分が下されます。また申請時に納付した申請手数料も還付されません。
欠格要件に該当する場合には、残念ながら絶対にどうすることもできず必ず不許可になります。

欠格要件の対象者

対象になるのは取締役の方だけではありません。
対象者は以下の方になります。

1 法人及び法人における役員等

法人及び法人における役員等とは、以下のような方です。

業務を執行する取締役、執行役又はこれらに準ずる者
 例えば代表取締役、取締役、監査役等が該当者です。
法人の業務を執行する権限はないが、実質的な支配力を有する者
 例えば相談役、顧問等の名称を称する者が該当者です。
発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する者
出資総額の100分の5以上の出資をしている者
法人に対し多額の資金を提供し、実質的に経営に介入している者等

2 法人における政令で定める使用人

法人における政令で定める使用人とは、申請者の使用人で、以下のような方です。

本店又は支店の代表者
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集・運搬、処分、再生の業に係る契約を締結する権限を有する者を置くものの代表者

3 個人事業者及び個人事業者における政令で定める使用人

個人事業者及び個人事業者における政令で定める使用人とは、申請者の使用人で、以下のような方です。

主たる事務所又は従たる事務所の代表者
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集・運搬、処分、再生の業に係る契約を締結する権限を有する者を置くものの代表者

産業廃棄物の許可申請の欠格要件

欠格要件は以下の表に掲げたとおりですが分かりにくく、期間の判断もとても複雑です。

過去に警察に捕まったことがあるといった場合はくれぐれも自分で判断せず、少しでもあやしい点があれば正直にご相談下さい。

欠格要件に該当している場合には、必ず不許可になります。

産業廃棄物運搬業許可申請の欠格要件

1成年被後見人若しくは被補佐人又は破産者で復権を得ないもの
2禁固以上の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
3廃棄物処理法その他環境保全法令若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反し、又は刑法(傷害・現場幇助・暴行・凶器準備集合及び結集・脅迫・背任)、暴力行為等の処罰に関する法律の罪を犯し、罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
4重大な廃棄物処理法違反又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反により禁固以上の刑若しくは罰金刑に処せられた者、及び不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認められた者で、許可を取り消され、その取消の日から5年を経過しない者
5廃棄物処理法又は浄化槽法に基づく許可取消しの聴聞通知があった日から、その処分を決定するまでの間に廃止届出書を提出し、5年を経過しない者
6廃棄物処理業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認められる相当の理由がある者
7 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しないもの(暴力団員等)
8未成年者の法定代理人が1から7までのいずれかに該当するもの
9法人で役員又は政令で定める使用人のうち1から7までのいずれかに該当する者のあるもの
10個人で政令で定める使用人のうち1から7までのいずれかに該当する者のあるもの
11暴力団員等がその事業活動を支配するもの

2 経営面

産業廃棄物運搬業者は、収集運搬を的確に、かつ、継続して行うことができる経理的基礎を有していることが求められています。

分かり易く言えば許可申請の際、「利益が計上されているか」「債務超過の状態にないか」などの審査を受けます。

具体的には通例であれば直近3年間の決算書と法人税納税証明書を提出します。

個人の場合は、資産調書と直近3年間の所得税納税証明書を提出します。

※ 税金を納めていないと不許可になります。納め忘れがないか注意が必要です。

これらの内容により状況分析をして所定の基準を満たしているか判断していきます。

※ 提出書類が異なりますが、設立したばかりの会社も許可をとることができます。当事務所では設立手続きも対応していますので会社の設立から許可までスムーズにお手伝いできます。

これまでの決算の内容だけでは不許可になってしまう場合は、その他書類を追加して条件をクリアできることがあります。
例えば中小企業診断士や公認会計士が作成した経営診断書をつけて条件をクリアします。

中小企業診断士はご紹介いたします。費用はだいたい10万円程度別途必要です。
※審査基準は自治体によって異なります。「OO県では許可が出たのに、XX県では許可が出ない」ということもあります。

3 施設面

運搬車両等の準備

運搬車両を準備します。運ぼうとしている産廃が運べるような形状の車両をご用意ください。

産業廃棄物が飛散したり流出したり悪臭が漏れるおそれのない運搬車やその他の運搬施設をご用意ください。
(取り扱う産業廃棄物の種類により容器又は車両が必要になることがあります。)

特に古いディーゼル車の場合はディーゼル規制の基準を確認しておく必要があります。満たしていないと首都圏では許可がとれません。

運搬車両は、ナンバーが認識できる正面からの写真と側面全体が見える写真の添付が必要です。

容器は、蓋があれば蓋を取った状態の写真の添付が必要です。カバーのついたものはカバーをとった写真の添付が必要です。

施設の使用権限があるか確認します

運搬車両については、自動車検査証の所有者もしくは使用者が申請者となっている必要があります。

法人申請の場合、使用者欄には法人名義が記載されていなければなりません。社長個人名義のままの場合は変更する必要があります。

リースは使用者欄に申請者の名前が入るので大丈夫ですが、従業員から車両を借りていている場合は、別途書類が必要になります。

また、1台の運搬車両を複数の業者で登録することはできません。

車庫については、申請者が所有している場合には、土地の登記事項証明書を添付する必要があります。それ以外の場合は、賃貸借契約書等のコピーを添付する必要がありますが、不明瞭な場合は、所有者の使用承諾書を添付します。

4 その他

その他には、許可をとる品目について収集運搬業の具体的な計画が必要になります。(どこで何を積んで、どこで何をおろすか等)

※ 許可後、許可を得ていない品目について追加したい場合は改めて変更許可申請をして許可をえなければならず、再度変更許可申請手数料を納めることになります。

車両の種類によっては扱えない品目もあり、他の車両や容器が必要になる場合もあります。どの品目をとっておくべきかなどを含めたご相談もできます。

提出する添付資料等や細かい審査基準については、自治体により微妙に異なりますので申請する自治体に確認する必要があります。

許可申請手数料

許可申請には許可区分に応じた下記の表記載の申請手数料を納める必要があります。この申請手数料は、行政書士に依頼せずご自身でされる場合でもかかる費用です。なお、いったん納入された手数料は、申請を取り下げた場合や欠格事由に該当したため不許可処分がなされた場合でも還付されません。

埼玉県の許可申請手数料

産業廃棄物特別管理産業廃棄物
新規許可81,000円81,000円
更新許可73,000円74,000円
変更許可71,000円72,000円

産業廃棄物収集運搬業許可申請サポート料金

サポート内容申請先料金
収集運搬業許可新規
(積替え保管除く)
埼玉県100,000円(税込110,000円)
地都県要相談
収集運搬業許可更新
(積替え保管除く)
埼玉県80,000円(税込88,000円)
他都県要相談
収集運搬業変更許可
(積替え保管除く)
埼玉県100,000円(税込110,000円)
他都県要相談
変更届出
(届出事項による)
10,000円(税込11,000円)

※ ご依頼いただいた案件によっては官公庁に納入する申請手数料が別途必要となります。

※ 謄本取得手数料等の実費代が別途必要となる場合がございます。

依頼する行政書士の選び方

「産業廃棄物収集運搬業許可」を行政書士に依頼する場合、依頼する行政書士の選び方として申請代行報酬の金額のみで決めるのはよくありません

産業廃棄物収集運搬業許可には、5年ごとに更新があります。コンプライアンスの遵守も重要です。法改正に対応したり、財務内容も審査されるため、日ごろから財務内容の定期的なチェックも必要になってきます。

更新のときだけ関わるというのではなく、いつでも相談できるような関係を築いておく必要があります。

更新申請時に限らずしっかりサポートしてくれる事務所を選ぶことが大切です。

Posted by 栗原誠