トラック運送事業者の役員変更の手続き

2019年3月26日一般貨物自動車運送業

会社・法人 会議室
トラック運送事業者の役員(代表取締役、取締役、監査役)に変更が生じた場合、役員変更手続きを行わなければなりませんが、どこの行政機関に、どのような手続きをする必要があるかについてみていきます。

法務局に登記申請

役員に変更が生じた場合、まず、はじめに行わなければならないのが、商業登記の登記事項の書換え手続きになります。
この手続きは、運送事業者の本店所在地を管轄する法務局に、役員変更登記申請書を提出して行います。

登記に必要となる書類

役員変更登記手続きは、司法書士の専門分野となりますので、必要者類や申請期限など詳しい手続きは法務局やお付き合いのある司法書士の方にご確認頂きたいと存じますが、役員変更登記手続きに必要となる書類は、例を挙げますと以下のような書類を登記申請書に添付して法務局に申請します。

株主総会議事録
取締役会議事録
取締役の決定書
就任承諾書
辞任届
役員の印鑑証明書
定款 など

※ これらの書類がすべて必要になるのではなく、非取締役会設置会社であるとか委員会等設置会社であるとか会社の機関設計や変更となる役員の役職によって、法務局へ提出書類が異なります。上記は一例です。

運輸局への届出

トラック運送事業者は法務局への役員変更登記手続きとあわせて、運輸局への役員変更届出も必要です。

役員変更届出の提出先は、主たる営業所の所在地を管轄する運輸支局になります。

提出書類は、変更届出書と宣誓書を提出します。
変更届出書には、新旧対照表に変更が生じた役員の役職名と氏名を記入します。
当事務所では法務局の役員変更登記後の履歴事項証明書の写しも資料として付けています。

新たに役員が就任した場合は、その役員が貨物自動車運送事業第5条に掲げられている欠格事由に該当しない旨の宣誓書を提出します。

役員変更手続きで注意すべき点が2つあります。

注意すべき点、その1

新任役員の欠格事由に該当していないかチェックします。
トラック運送事業者の役員には、貨物自動車運送事業法第5条に掲げられている欠格事由のいずれにも該当しない方でしか、役員に就任することはできません。

貨物自動車運送事業法第5条
(欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
一  一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

二 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十五条第一項 の通知が到達した日(同条第三項 により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第四号において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないものを含む。)

三 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人であって、その法定代理人が前二号又は次号のいずれかに該当するもの

四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの

従って、順序としては、新役員選任時に、新たに就任される役員様(代表取締役、取締役、監査役)に対して貨物自動車運送事業法第5条に規定されている欠格事由のいずれにも該当していないことを直接確認するのが良いと思います。

注意すべき点、その2

トラック運送事業者の役員変更届出を提出する時期は、代表権を有する役員の場合と代表権を有しない役員とでは、取扱いが異なっています。

代表権を有しない役員(平取締役や監査役)の変更手続きは、前年7月1日から6月30日までの期間に生じた役員変更手続きは、毎年7月31日までに届け出をすればよいとされています。

つまり、代表権を有しない役員変更手続きは、まとめて行うことができるようになっています。

しかし、代表権を有する役員(代表取締役)の変更手続きは、代表権を有しない役員のようにまとめて行うことはできず、役員変更が生じてから「遅滞なく」その届出手続きを行わなければなりません。

最後に

トラック運送事業者さんの役員変更手続きは、簡単な手続きではありますが、法務局と運輸支局の2か所のでの手続きが必要となるため意外と手間と時間がかかります。

登記は変更したけれども運輸局に届け出を忘れている場合もありますので、届出書の控えなどで一度確認されるとよいと思います。

代表の方以外であれば、1年に一回まとめて出すこともできますが、忘れがちになりますので、役員が変わったときはその都度届け出されるのが失念防止にもなりお勧めです。

トラック運送事業者自身で行うこともできますが、専門家に依頼することにより、事務手続きの負担を減らして、営業活動や運行管理に集中できますので検討されてみてはいかがでしょうか?