相続による車の名義変更
所有者の方が亡くなった場合、自動車の名義変更をするには不動産や預貯金と同様に「遺産分割協議書」「相続人全員の戸籍謄本」「相続人全員の印鑑証明書」等の相続に関する書類が必要になります。
遺言書による場合、審判による場合、相続人の中に未成年者がいる場合など様々な相続がございますので案件ごとに必要書類は異なりますが、今回は一般的なケースを見ていきます。
相続人が2人以上いる場合
最も一般的なケースです。
遺言書が無い場合、亡くなった人の妻や夫などの配偶者と子ども(家族)など法定相続人の話し合いで遺産の分割の話し合いを行い遺産分割協議書を作成することになります。
以下、相続人が2人以上いる場合の必要書類です。
主な必要書類
1. 車検証の所有者の死亡の記載がされている除籍謄本、住民票の除票など
2. 相続人全員の戸籍謄本
3. 遺産分割協議書(相続人全員の実印が押印されているもの)
4. 相続人の印鑑証明書
5. 車検証(自動車検査証)
6. 所有者の委任状(代理人による申請の場合)
7. 使用者の委任状
8. 自賠責保険証
9. 自動車税(種別割・環境性能割)申告書
10. 登録識別情報(交付されている場合のみ)
案件により、必要書類は異なります。詳しい必要書類については、管轄する陸運局や行政書士にお問い合わせください。
車両価格が100万円以下の場合は簡易な手続き方法があります
車両の査定価格が100万円以下の場合は、実印や印鑑証明書をご用意いただくのは「相続する方のみ」で名義変更をすることが可能になります(別途、査定価格を証明する資料は必要になります)。
100万円以下の場合、遺産分割協議書の代わりに、「遺産分割協議成立申立書」を使用することで、手続きが少し簡略化できます。
必要書類
1. 亡くなった方の死亡の記載がされている除籍謄本、住民票の除票など
2. 相続人の代表者が相続人であることを証明できる書類。戸籍謄本等
3. 遺産分割協成立申立書(相続人の代表者の実印が押印されているもの)
4. 相続人の代表者の印鑑証明書
5. 査定額が100万円以下であることを証明する書類(査定書等)
6. 査定を査定士の資格を有するものが行った事を証明する書類。査定士証のコピー等
7. 車検証
8. 所有者の委任状(代理人による申請の場合)
9. 使用者の委任状
10. 自賠責保険証
11. 自動車税(種別割・環境性能割)申告書
12. 登録識別情報(交付されている場合のみ)
遺産分割協議書と比べ、遺産分割協議申立書がどう簡略化されているかというと、相続人の代表者以外の印鑑が不要になるという点です。もちろん、他の相続人の方に無断で相続してはいけませんが、書面での証明は不要になります。
相続した車をすぐに売却する場合、基本的に、どの買取店も、査定の段階では査定書を発行しません。売却が決まってから依頼するようにしましょう。
買取店がどうしても査定書を発行しない、または下記の査定士の資格を持っていない場合は、有料にはなりますが、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)に査定を依頼することも可能です。
車の買取をしている一般的な自動車ディーラーや、中古車販売店、買取店であればおおよそ対応していただけると思います。
被相続人名義のまま売却できる?
相続した車を売却等により相続人以外の名義にする場合、いったん相続人に名義変更してから、買主の名義に変更する必要があります。
被相続人名義のまま廃車できる?
廃車する場合は被相続人名義のまま抹消登録することはできず、いったん相続人に名義変更してから抹消登録する手続きをする必要があります。
車庫証明を取得する必要はあるか?
故人の車を同居してない相続人が相続した場合、車の保管場所(車庫の場所)を利用する場合であっても故人と住所が異なるときは、車庫証明を取得する必要があります。
同居の親族から車を譲り受けた場合など、同一の車庫であるときは、手続きに車庫証明は必要ない場合もあります。