運行管理者とは?
自動車運送事業者は、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければなりません。
また、複数の運行管理者を選任する営業所にあっては、運行管理者の業務を統括する者(統括運行管理者)を選任しなければなりません。
以下では運行管理者の資格と取得方法について見ていきます。
運行管理者の業務
運行管理者とは、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行う人の事を指します。
具体的な主な業務内容は以下に示すとおりです。
乗務の指示
睡眠不足での運転・過労運転の防止
休憩・睡眠施設の管理
乗務割の作成
酒気を帯びた状態にある乗務員を乗務させない
交替運転者の配置
過積載の防止
貨物の積載方法
積載方法
点呼
乗務等の記録
運行記録計による記録
事故の記録
運行指示書による指示など
乗務員への指導・監督・・・・
資格の取得について
「運行管理者」の資格を取得するには、主に2つの方法があります。まず一つ目の方法は試験を受ける方法、もう1つは試験を受けないで取得する方法です。
※平成28年12月1日より一般貸切旅客自動車運送事業では、「運行管理者」の取得方法は国家試験合格者のみとなっています。
試験で取得する方法
一つ目として、公益財団法人 運行管理者試験センター(NECO)で実施している運行管理者試験に合格することです。試験は、3月と8月に年2回実施されます。
試験を受ける場合は、試験日の前日において、自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く。)の用に供する事業用自動車又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)の運行の管理に関し、1年以上の実務の経験を有しているか、または運行管理者基礎講習を修了(修了予定者も含みます)しているか、どちらかに当てはまれば運行管理者試験を受験することができます。
実務要件を満たしていない場合に試験ルートで取得するには、まず全国で行われる基礎講習(16時間)を試験日前日までに受講修了していなければなりません。
基礎講習は「貨物」と「旅客」の二種類ありますので、取得したい種別用の基礎講習を受講しなければなりません。自分の日程や都合のよい会場を選択して基礎講習を受講しましょう。
基礎講習は有料ですが全国で開催されています。国土交通大臣が認定する講習認定機関一覧はこちらから
実務経験で取得する方法
二つ目として、試験を受けないで取得する場合は、取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験が必要です。
また、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。講習には基礎講習と一般講習があり、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
同一年度に数回受けたとしてもその年度は1回とカウントされます。運行管理の補助者として働いていたことは自分で勤務記録などにより証明しなければなりませんのでハードルの高い条件です。
運行管理者試験の合格基準
合格するには、下記の①と②を満たさなければなりません。
① 原則として、総得点が満点の60%(30問中18問)以上であること。
② 下の表の(1)~(4)の出題分野ごとに正解が1問以上であり、(5)については正解が2問以上であること。
出題分野
出題分野は下記の表のとおり出題されます。
科 目 | 出題数 |
(1) 貨物自動車は貨物自動車運送事業法 旅客自動車は道路運送法 | 8 |
(2) 道路運送車両法 | 4 |
(3) 道路交通法 | 5 |
(4) 労働基準法 | 6 |
(5) その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 | 7 |
合 計 | 30 |
運行管理者として選任されるためには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)を取得する必要があります。
運行管理者資格者証を取得するには、希望する資格者証の種類が「貨物」の場合は「貨物」の試験を、「一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客」の場合は「旅客」の試験の種類に応じて受験していただくことになります。
試験科目「貨物」と「旅客」との違いは、「旅客」は、「貨物自動車運送事業法関係」から8問ではなくて「道路運送法関係」から出題されます。
すべてマークシート式の選択方式で30問中18問以上の正解で合格です。法律からの出題になるので法律用語に慣れておくことも重要です。
試験の難易度
試験は過去問から同じような内容が問われることが多いので、過去問を中心にしっかり試験準備しましょう。
試験から1か月以内に合格発表があります。近年の合格率は30%前後で推移しています。
(参考) 令和元年度第1回試験の合格率 貨物 31.7% 旅客 31.8%
令和元年度第1回試験の実施状況(参考)
令和元年8月25日(日)に実施した試験の合格者数等は、次のとおりです。
試験の種類 | 貨物 | 旅客 |
試験実施県 | 47都道府県 | 46都道府県 |
受験者数 | 36,530人 | 8,263人 |
合格者数 | 11,584人 | 2,624人 |
合格率(%) | 31.7 | 31.8 |
合格後の手続き
運行管理者試験に合格された方は、合格発表日から3ヵ月以内に、所定の書類をそろえて運輸支局等を経由して、運輸局長等あてに資格者証交付申請手続きを行う必要があります。
運行管理者の資格証は自動車運送業の種別(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)に応じて分かれています。例えば、トラックの運送業許可の場合は、「貨物」の資格証を取得する必要があります。
運行管理者に選任後に受ける講習
自動車運送事業者は、選任した運行管理者について、運行管理者講習を2年に1回受講させなければならないことになっており、運行管理者は、2年ごとに1回一般講習を受ける必要があります。
運行管理者の必要人数
運行管理者の配置基準が強化され、保有車両数に応じて一定人数以上選任しなければならないこととされました。運行管理者は事業用自動車の車両数に応じて、下記人数が必要となります。
【トラック】
保有車両29両まで1名、以降30両ごとに1名追加
車両数 | 必要人数 |
~29両 | 1名 |
30~59両 | 2名 |
60~89両 | 3名 |
90~119両 | 4名 |
【貸切】
保有車両39両まで2名、以降20両ごとに1名追加(保有車両100両以降は、30両ごとに1名追加)
車両数 | 必要人数 |
~39両 | 2名 |
40~59両 | 3名 |
60~79両 | 4名 |
80~99両 | 5名 |
【乗合、乗用】
保有車両39両まで1名、以降40両ごとに1名追加
車両数 | 必要人数 |
~39両 | 1名 |
40~79両 | 2名 |
80~109両 | 3名 |
120~159両 | 4名 |