一般貨物自動車運送事業者が最低車両数5両を割ることはできるか?

2019年3月18日一般貨物自動車運送業

一般貨物自動車運送事業者の保有する最低車両数とは?

一般貨物自動車運送事業者の保有する車両の最低車両台数は貨物自動車運送事業法等の法令に規定されているのではなく、「一般貨物自動車運送業の事業計画変更等に関する処理方針」という公示基準に規定されています。

最低車両数が5両と規定されているのは、法律に規定されているのではなく公示基準に規定されています。

やむを得ない場合の減車はできる?

最低車両数である5両を維持することに表向きは強制力はありません。

最低車両台数である5両を割ったままでも法律違反でないならば問題が一見問題なさそうに見えますが、そうのようにはなりません。

トラックの減車は原則届出事項ですが、一定の基準に達しない場合は、「事業用自動車の数の変更の『認可』」を受けなければならなくなりました。車両台数が5両を割り込んだとしても直接の行政処分はありません。

しかし、5両未満に減車するには、事前に認可を受けなければならなくなり、認可を受けずに5両未満に減車すると行政処分の対象になりました。(令和元年11月1日現在 初違反 10日車)

5両を保有する事業所で急な事故や故障等で廃車しなければならなくなり、すぐには新規車両を準備することができないこともありますよね。

このような場合も運輸局は減車の認可を受け付けてくれないのでしょうか?

そんなことはありません。

変更後の車両数が5両未満になってしまう場合でも、「災害等により車両が使用不能となり、代わりの車両が確保されるような理由であれば認可する」旨の基準が公示基準に設けられています。

災害だけでなく故障や事故などにより使用不能になったようなやむを得ない場合でも、計画書等提出して具体的な計画であることが確認できれば認可されるようになっています。

なお、2両から4両に増車するというように増車してもなお5両未満の場合も届出ではなく認可が必要です。

従いまして、運輸支局も5両未満の減車を一切受け付けない対応ではなく、事情によっては柔軟に対応してくれます。

埼玉運輸支局では、最低車両台数量を割る減車認可については、基準を割ることの事情や経緯の説明や一定期間内に増車をする内容を記載した計画書を添付することで減車申請の受付に対応しています。

減車後、期間内に増車申請等がなされない場合には、年度毎に対象事業者への文書発信を行い、今後の事業計画報告書の提出を求め継続調査を実施しています。

5両割れの状態となっている事業者に重点監査を過去に実施したことがあります

国土交通省は、5両割れの状態となっている事業者は、社会保険等の未加入や法令知識の不足等があるとして、平成21年3月に提示された「事業用自動車総合安全プラン2009」の中に「貨物事業許可基準未満の事業者に対する集中的な監査」を盛り込み、これに基づき、5両割れ事業者の実態把握及び指導を目的として、平成21年6月に重点監査を実施しました。

監査の重点項目として、
① 過労防止の実施状況
② 健康状態の把握状況
③ 点呼の実施状況
④ 乗務等の記録・管理状況
⑤ 指導監督の実施状況
⑥ 社会保険等の加入状況

などを挙げています。

監査の結果、全国の5両未満の事業所のうち1018の事業所について調べたところ、741の事業所(72.8%)について点呼や健康状態の把握、乗務時間などで数々の違反項目が見つかったとのことです。

5両未満の事業所に行った監査において違反項目が多く見つかったことを受けて、全国の運輸局は5両割れの事業者に対し、今後も重点的に監査を実施することとしています。

5両割れということでの直接な行政処分はありませんが、運輸局に「目をつけられる」ということになってしまうのです。

やむを得ない場合は仕方がありませんが、企業活動を行うすべての許可業者が許可基準を遵守することが大切ですね。