2025年行政書士法改正 重要ポイントを解説
2025年(令和7年)6月、「行政書士法の一部を改正する法律」が公布されました。
(2026年(令和8年)1月1日施行)
今回の改正では行政書士の「使命」が明記され、国民の利便性が向上するほか、事業者の皆様の「コンプライアンス(法令順守)」にも直結する非常に重要な変更を含んでいます。
ポイントは大きく分けて4点あります。
ポイント1 無資格者による業務制限の「趣旨明確化」【最重要】
ポイント2 罰則の強化と「両罰規定」
ポイント3 特定行政書士の業務範囲の拡大
ポイント4 行政書士の「使命」「職責」の明記
特に、行政書士でない方が「報酬を得て」申請書類を作成する行為への規制が、より厳格に、かつ明確にされました。
今回の改正で、事業者の皆様に特に知っておいていただきたい重要ポイントは、「業務制限の明確化」と「罰則の強化」です。
以下では、改正の重要ポイントと事業者様が行う改正行政書士への準備・対応方法を見ていきます。
ポイント1 無資格者による業務制限の「趣旨明確化」【最重要】
今回の改正で、事業者の皆様の業務に最も大きな影響を与える変更点です。
改正法第19条第1項では、行政書士でない者が行政書士の業務(官公署に提出する書類作成など)を行うことを禁止する規定に、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。
これは、「会費」「コンサル料」「サポート料」「商品代金」など、どのような名目であっても、実質的に「官公署に提出する書類作成(例:車庫証明、自動車登録、貨物運送事業者の許認可申請など)の対価」として報酬を受け取ることが、明確に違法であると法律に明記されたことを意味します。
これまでは「これは書類作成代ではなく、コンサルティングの費用だ」といった説明がなされるケースもありましたが、今後はそのような言い分が通用しにくくなります。
ポイント2 罰則の強化と「両罰規定」
ポイント1の違反(無資格業務)に対して、厳しい罰則(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)が定められています。(第21条)
さらに今回の改正では、罰則に「両罰規定」(第23条の3)が規定されました。
万が一、従業員が違反行為(ポイント1のような無資格での書類作成・申請代行)を行った場合、その違反行為を行った従業員個人だけでなく、その行為者が所属する法人または人に対しても「100万円以下の罰金」が科される可能性があります。
「従業員が勝手にやったこと」では済まされず、会社の管理体制やコンプライアンス意識が厳しく問われることになります。
ポイント3 特定行政書士の業務範囲の拡大
国民の皆様の権利を守る選択肢が広がり、国民の皆様の利便性を高める改正も行われます。
改正前までは、お客様ご自身で申請して不許可になってしまった事案では、行政書士が行政不服申立て(審査請求など)をすることができず、行政書士が「作成した」書類に関する不服申立て(審査請求など)しか、特定行政書士は代理できませんでした。
今回の改正で、行政書士が「作成することができる」書類へと範囲が拡大されます。
例えば、お客様ご自身で申請して不許可になってしまった案件についても、行政書士が不服申立ての段階からサポート(代理)できるようになります。
ポイント4 行政書士の「使命」「職責」の明記
行政書士の役割についても、法律上の位置づけが明確になりました。
使命として、第1条に行政書士が「国民の権利利益の実現に資する」存在であることが明記されました。
職責として、第1条の2に法令・実務に精通し公正誠実であること、また、デジタル社会に対応する努力義務が定められました。
行政書士は、急速に進展するデジタル社会に対応し、より一層の責任感と専門性をもって、皆様のサポートにあたってまいります。
自動車ディーラー・中古車販売店の皆様が注意すべきこと
これまで、お客様への「サービスの一環」や「手数料」といった名目で、お客様名義の車庫証明、自動車登録などを、自社の従業員が代行していませんでしたか?
コンプライアンス(法令遵守)体制の再構築が急務です。
今回の法改正により、これらの行為が「報酬を得た無資格業務」とみなされ、行政書士法違反とされるリスクが、従来に比べて格段に高まりました。
万が一違反となれば、行為者である従業員が「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」の対象となるだけでなく、その行為者が所属する法人または人も「100万円以下の罰金」を科される可能性があります。
コンプライアンス違反が発覚すれば、罰金だけでなく、会社の社会的信用が失墜するばありか客離れにも繋がりかねず、「知らなかった」では済まされません。行政書士改正によるコンプライアンス順守に向けた対応準備が必要です。
具体的な対策として以下のような体制を構築する必要があります。
1.業務範囲の明確な分離
2.有資格者(行政書士)との正式な連携
3.社内教育と周知
4.客観的に説明できる記録(証拠)の整備
依頼者のメリット
一方で、皆様(依頼者)にとってはメリットもあります。
① 救済手段が拡大され、万が一、ご自身による申請が不許可になった場合でも、特定行政書士による不服申立てという救済の道が使いやすくなります。
➁ 無資格業者が排除されることで、国家資格者である行政書士による適法かつ専門的な手続きが担保され、より安心して手続きを依頼できる環境が整います。
まとめ
コンプライアンス遵守と業務効率化のために・・・
2026年1月から施行される行政書士法改正は、無資格者による申請代行業務を厳しく制限し、違反した場合の法人責任(両罰規定)を明確にします。
自動車ディーラー様や関連事業者の皆様が、意図せず法律違反を犯してしまうコンプライアンスリスクを回避するために、申請業務のあり方を今一度見直す絶好の機会です。
車庫証明、自動車登録、各種許認可申請(建設業、運送業、古物商など)の手続きは、コンプライアンス遵守と業務効率化の観点から、実務の専門家である行政書士にぜひお任せください。
行政書士が適法かつ迅速・丁寧に手続きを代行することで、皆様は罰則のリスクから解放され、営業活動や顧客対応といった本来のコア業務に安心して集中していただけます。
【引用】『日本行政書士会連合会会長談話』「行政書士法の一部を改正する法律」の成立について